このトピックでは、SAP ECCのアーキテクチャを取り上げて説明します。
レイヤアーキテクチャ
レイヤとは、階層状に積み上がった構造の構成になる各要素のことです。 例えば、コンピュータのハードウェア上でOSが動き、OS上でアプリケーションソフトが動いている、という構造について、それぞれのことをハードウェアレイヤ、OSレイヤ、アプリケーションレイヤ、などと呼ぶことができます。 移植性や拡張性、保守性が高い情報システムを構築するためには、標準構造として、その情報システムを下記の図のような四つの論理階層に明確に分割して構築すべきと思われます。
- システム・プラットフォーム
システムプラットフォームは、情報システムの稼働基盤を提供し、ハードウェア、ネットワークや、OS、データベース管理システムなどの基礎ソフトウェアが含められます。 - テクノロジープ・ラットフォーム
テクノロジープラットフォームは、異なるシステムプラットフォームの差異を吸収しながら、上層の業務アプリケーションの実行環境を提供します。なお、ユーザ管理や権限制御、プロセス管理などの特定な業務処理に依存しない部品はここで実装されることが多いです。
テクノロジープラットフォームとして提供されるソフトウェアは、ミドルウェアやアプリケーションサーバと呼ばれることがよくあります。 - ビジネス・ドメイン
ビジネスドメイン層には、銀行や証券、小売りなど特定業務分野に共通な業務基盤や業務部品が含められます。 - ビジネス・アプリケーション
ビジネスアプリケーション層には、情報システムのエンドユーザが使用する様々な業務機能が含められます。ビジネスドメイン層が提供したものはそのまま又は少しカスタマイズしてから、ビジネスアプリケーション層のものとしてエンドユーザに使用してもらうことがあります。
通常では、レイヤ1とレイヤ2は社外から必要な製品を調達し、レイヤ4は自社開発になりますが、レイヤ3は(1)そもそも分けずにレイヤ4に統合、(2)パッケージソフトエア購入、(3)自社開発のどちらでもよくあります。 SapECCのレイヤアーキテクチャーは情報システムの四階層標準モデルに従っていて、下記の図で示すことができます。