概要
プロセス指向アプローチ(Process Oriented Approach,POA)は、データの「入力」、「加工」、「出力」という3つのまとまりから成る「処理」に重点を置いたアプローチです。
ただし、データを完全に無視しているわけではなく、POAでは、システムを構成する処理と処理の間をデータが通過していくと考え、データを処理の附属的な存在と捉えています。
モデリング手法
POAの代表的な表記法であるDFDは、構造化分析で有名なトム・デマルコ氏が提唱した表記法です。
DFDは「データの流れ図」という意味だが、実際にはシステムを構成する「処理」の構造に着目しています。
例えば、販売管理システムのDFDは、下記の図のように記述できます。
「顧客」というデータの発生源(源泉と呼ぶ)から生じた「注文」データが、「受注」→「在庫チェック」→「出荷」→「請求」という処理をたどって加工されながら流れていきます。
「受注」と「在庫チェック」という処理を実施するために、「顧客マスタ」と「商品マスタ」というファイル(データ)が参照されます。
ただしPOAでは、あくまでシステムの主役が「処理」であるため、これらのデータが一元管理されているわけではなく、システムごとに用意する必要があります。
利点
POAは、業務の手順や工程を図などに書き表して定義し、それに合わせてソフトウェアやシステムの挙動を決定していく。現実の手順に基いてシステムの動作を考えるため分かりやすく、設計工程を比較的容易に素早く進めることができます。
欠点
POAは、業務内容を中心に設計されるため、各部署の業務内容に応じて独立したシステムになることが多く、システム間のやりとりが複雑になるという問題点がありました
また、システムが業務内容に強く依存しているため、業務内容が変更になった時には、システムの大幅な改変が必要です。