このトピックでは、 固定資産管理の業務処理概要を取り上げて説明します。
概要
固定資産管理は、会計で総勘定元帳に対する補助元帳の役割を果たしています。
固定資産管理コンポーネントがSAP ERPシステム全体における位置づけ
固定資産管理の業務プロセスフロー
日常業務マスタ管理
資産ごとに様々な管理情報を登録しておくのが「資産マスタ」です、資産マスタの登録情報には以下のものがあります。
名称コード所属会社費用負担部門数量所在地取得年月日償却方法耐用年数…
資産マスタは資産1件ごとに登録するのが通例ですが、付属部品や組み合わせて使用する資産については本体を(親)資産マスタに登録しておき、付属部品は「補助資産マスタ」という(子)マスタに登録して管理することができます。
以下のような機能が用意されております。
資産のマスタレコードを登録
⇒ AS01資産のマスタレコードを変更
⇒ AS02資産のマスタレコードを照会
⇒ AS03資産マスタレコードの変更履歴を照会
⇒ AS04資産のマスタレコードをロック
⇒ AS05資産のマスタレコードを削除
⇒ AS06
以下の表で資産登録の業務プロセスの例を示します。
分類プロセスNoプロセス名称トランザクションコード処理詳細-1資産購入手続きン-システム外処理、手作業2資産登録AS01-3登録後確認AR01-記帳処理
資産の計上、売却などの取引はすべて資産伝票として記帳されます。
以下のような汎用的な機能が用意されています。
資産伝票登録
⇒ AB01 資産伝票変更
⇒ AB02資産伝票照会
⇒ AB03
上記以外にも他の業務プロセスに資産伝票登録が統合されたり、取引種類ごとに専用のトランザクションが多数存在しています。
資産計上
資産計上の前には固定資産マスタの登録が必要です。資産マスタは資産の「箱」に過ぎませんので、資産マスタの登録の時点ではまだ資産は計上されていなく、資産計上には別途何かの伝票入力の処理が必要になります。
資産計上処理は、基本的にほかの業務プロセスに統合されています。
購買処理からの資産計上
資産の購入プロセスも他の資材購入と基本的には同じですが、最大の違いは固定資産マスタの登録 が必要である点です。購買発注前にマスタ登録をしておき、発注時に資産マスタ番号を指定した発注を行います。
通常は検収がされた時点で資産計上されますが、場合によっては請 求書照合時の資産計上となります。
建設仮勘定を使わないパターン
建設仮勘定を使うパターン
設備投資案件からの資産計上
設備投資案件でWBSを使って一時的に回収された原価は定期的にまたは完了時に建設仮勘定に決済する必要があります。
WBSを一括決済
⇒CCJ8G WBSを個別決済
⇒CJ88WBSの決済状況を確認
⇒CJIC
建設仮勘定から本資産への転記
建設仮勘定が使用された場合、最終的に資産振替機能を使用して建設仮勘定の金額を本資産に転記する必要があります。
資産異動
資産異動には、除却や、売却、投資援助、振り替えなどがあります。
資産を除却
⇒ABAVN資産を売却
⇒ABAON投資援助
⇒ABIF 別の資産に振替
⇒ABUMN
以下の表で資産異動の業務プロセスの例を示します。
分類プロセスNoプロセス名称トランザクションコード処理詳細除却1資産台帳出力AR01-2対象資産確認-システム外処理、手作業3現物廃棄-システム外処理、手作業4資産除却ABAVN-5除却後確認AR01-売却1資産台帳出力AR01-2対象資産確認-システム外処理、手作業3売却手続き-システム外処理、手作業4資産売却ABAON-5売却後確認AR01-6未収入金登録FV50-7未収入金計上承認FBV0未転記伝票を転記して未収入金計上を確定減損1資産台帳出力AR01-2対象資産確認-システム外処理、手作業3減損手続き-システム外処理、手作業4償却記帳AFAB-5減損後確認AR01-取引の取消1資産台帳出力AR01-2対象資産確認-システム外処理、手作業3取引取消手続き-システム外処理、手作業4取消記帳AB08反対仕訳を転記する5取引取消後確認AR01-休止1資産台帳出力AR01-2対象資産確認-システム外処理、手作業3休止手続き-システム外処理、手作業4資産休止AS02資産変更の時間依存タブで資産休止にチェックを付ける5休止後確認AR01-圧縮(直接減額)1資産台帳出力AR01-2対象資産確認-システム外処理、手作業3補助関連手続き-システム外処理、手作業4圧縮(直接減額)ABIF-5圧縮後確認AR01-月次業務
固定資産管理の月次業務には、主に減価償却処理があります。
償却記帳
⇒AFAB
取得済固定資産に対する減価償却を行います。減価償却再計算
⇒AFAR
特定の状況より、個別(或いは複数)の固定資産の計画当期償却額の再計算を行う必要はあります。カスタマイジングで償却キーを変更した場合。一括変更を行い、そしてその変更が償却関連データに影響を与えた場合。償却記帳ログを確認
⇒AFBP
実行した減価償却のログ照会を行います。本転記後は、こちらの画面からスプールの確認をすること可能です
以下の表で減価償却の業務プロセスの例を示します。
分類プロセスNoプロセス名称トランザクションコード処理詳細-1償却シミュレーションS_ALR_87012936-2償却記帳AFAB-3償却後確認AR01-年次業務
年度末処理としては、以下のような機能があります
AJRW 資産会計年度変更
翌会計年度をオープンします。本処理を行うことで、翌会計年度での固定資産取引の計上が可能となります。AJAB 年度末処理
年度末処理を実施することにより、クローズした年度以前の値の転記または変更を行うことができなくなります。OAAQ 年度末処理:取消
再度年度末処理を実行すると、対象の会社の年度は自動的にクローズ年度に変更されます。
なお、固定資産税納税関連には、以下のような機能があります。
資産税レポート出力
⇒ S_ALN_01001767
以下の表で納税の業務プロセスの例を示します。
分類プロセスNoプロセス名称トランザクションコード処理詳細税務1償却資産税レポート出力S_ALN_01001767・償却資産税レポートを出力して、申告書を作成2申告書提出-税務署に申告書を提出3償却資産税登録FV60課税通知書に基づいて償却資産税を登録4債務計上承認FBV0未転記伝票を転記して債務計上を確定その他
その他には、以下のような機能が用意されております。
資産の状況を確認
⇒ AW01N 資産エクスプローラ資産管理台帳を照会