簿記上の取引とは
簿記上の取引とは、簿記の5つの要素、資産・負債・純資産・収益・費用のいずれかに増減変化をもたらす、すべての現象をいいます。
簿記上の取引は、生活上の取引と若干異なります。
- 生活でのみ取引といえるもの
お金の受け渡しが発生しないものは、簿記では取引とならないですが、日常生活では取引と呼ばれるものがあります。
例えば: 基本契約の締結や商品の注文など。 - 簿記でのみ取引といえるもの
簿記ではお金の増減に伴うものがすべて取引にありますが、日常生活では取引といえないものが多数あります。
例えば、盗難による金銭の損失など - どちらも取引といえるもの
いかのようなものは、簿記でも取引になりますし、生活でも取引と呼ばれます。- 商品の売買
- 経費の支払い
- 商品の売買
取引の種類
簿記上の取引は、営業取引と決算取引の2つに分けることができます。
営業取引
営業取引とは今まで述べた取引で,その財産や資本の内容がどのように増減変化をするかによって,交換取引,損益取引および混合取引に分けられる。
- (ア)交換取引は取引の結果,損益の発生をともなわない取引をいい,たとえば備品の購入,現金を銀行預金する,借入金を返済するなどの取引で資産や負債は増減するが,損益の発生をともなわない取引をいう。
- (イ)損益取引はその取引の結果,費用または収益の発生となる取引をいい,たとえば給料や借入金の利息の支払など損失の取引となり,売上代金や受取手数料などは収益取引となるもので,これらの取引は資産や負債の増減とともに損益の発生をともなっている取引をいう。
- (ウ)混合取引とは一つの取引の中に前記の(ア)の交換取引と(イ)の損益取引が混合して組合せとなっている取引をいう。たとえば借入金¥100,000の元金返済と同利息¥5,000を現金で支払ったという取引などをさし,次の内容である。例を示してみると,
決算取引
決算取引とは前項の営業取引のように営業期間中に営業活動を行うことによって,発生する取引とは違って,開始取引すなわち帳簿記帳始めに当たって財産調査などした事項を取引とみなして記帳するものや,また年度末決算に当たっての決算手続上の事項を一つの取引とみなして記帳整理することをいうもので,たとえば次の内容のものなどをいう。備品の減価償却費(定額法,購入価格10万円,耐用年数5年)¥18,000を計上した。従業員退職給与資金¥20,000を引当金として計上した。なお,別 章,財産の調査,決算の項を参照されたい。
取引の構成要素
取引
会計における取引は通常の商取引とは異なり、簿記における資産・負債・資本・費用・収益に増減を生じるような事柄について取引といいます。
たとえば、ある物品を売買するという契約をした場合、契約をしただけでは会計における取引には該当せず、実際にその物品が届いて(資産の増加)その代金を現金払い(資産の減少)または買掛金とする(負債の増加)段階で会計上の取引とします。
また、台風や水害などで建物や商品に被害を受けた場合は、通常の商取引では取引には当たらないが、会計上は資産の減少となることから取引に該当します。
総務とは
総務とは社員が働きやすい環境を整えて、業務に支障がでないようサポートする仕事です。
辞書では総務の意味として、「組織全体に関する事務を扱う職」(大辞林)、「組織全体に関する事務を扱うこと。また、その職にある人や、その部署」(デジタル大辞泉)と記載されています。
つまり総務の最も幅広い定義は、生産、販売以外の全ての業務を司ることです。裏方部門とみられることもありますが、会社を支える重要な部署であることに間違いはありません。
総務部門の役割
総務部門の業務は、企業内の事務業務を全てつかさどる部門といわれています。
つまり、総務部から派生した人事部、経理部、法務部、広報部など間接部門の中枢で、企業内の経営管理を行う部署です。業務領域は企業によって異なりますが、総務部の役割は次のようにまとめることができます。
- 経営トップのサポート業務
- 全社的コミュニケーター
経営計画や経営戦略の策定など全社的な情報の連絡・調整、業務事項などの全社通達を行います。 - 他部門のサポート業務
各部門が円滑に効果的に業務を遂行できるよう支援します。 - 全社的活動の推進
全社的活動の準備・PR活動・運営とその支援を行います。
また、総務部門にとって、外部とのかかわりも重要な業務です。官公庁、取引先、各種関係先、金融機関、株主・投資家、経済・業界団体、学校・学生、地域社会、消費者などと良好な関係を保ち、会社を守る役割を担っています。
総務の仕事内容
総務の仕事内容は会社によって少しずつ違いますが、まず会社全体としての業務は、生産、販売、管理の3つに分けられます。この中の管理業務を全般的に担う部署が総務部門です。
多くの会社では、業務量や専門性を勘案して経営企画、経理、人事、ITなどを担う部署を会社規模の拡大に合わせ徐々に独立させていきます。そうして総務部門の業務範囲が少しずつ狭まる中で、最後まで残る仕事が庶務です。
庶務とはさまざまな事務のこと。総務の仕事といえば、事務職の代表例としてイメージする人も多いことでしょう。
- 文書管理
- 社内文書
- 社外文書
- 福利厚生
- 社会的な交際
ワクチンとは
私たちの身の回りには、細菌やウイルスによって引き起こされるさまざまな感染症があります。感染症にかかると体の中で抗体などが作られ、新たに外から侵入する病原体を攻撃するしくみができます。このしくみを「免疫」といいます。
免疫のしくみを利用したのが「ワクチン」です。ワクチンを接種することにより、あらかじめウイルスや細菌(病原体)に対する免疫(抵抗力)を作り出し、病気になりにくくするのです。
ワクチンの種類
日本の子どもが現在受けられるワクチンと、おすすめの接種年齢(数回接種が必要な場合は1回目の接種年齢)、スケジュールをまとめました。
(0歳からのワクチン)
ワクチン(商品名) | 接種をはじめる月齢 | 接種回数 | 接種方法 |
B型肝炎 | 生後2か月(生後すぐでも可) | 2回、追加1回 | 注射 |
ヒブ | 生後2か月 | 4回(初回3回、追加1回) | 注射 |
ロタウイルス「ロタリックス」 | 生後2か月 ※初回接種は生後14週6日までが望ましい | 2回 | 経口 |
ロタウイルス「ロタテック」 | 生後2か月 ※初回接種は生後14週6日までが望ましい | 3回 | 経口 |
小児用肺炎球菌 | 生後2か月 | 4回(初回3回、追加1回) | 注射 |
四種混合(DPT-IPV) | 生後3か月 | 4回(初回3回、追加1回) | 注射 |
不活化ポリオ(IPV単独) | 生後3か月 | 4回(初回3回、追加1回) | 注射 |
BCGワクチン | 生後5か月 | 1回 | スタンプ方式 |
(1歳からのワクチン)
ワクチンの種類 | 接種をはじめる月齢 | 接種回数 | 接種方法 |
MR(麻しん風しん混合) | 1歳の誕生日すぐに | 2回(2回目は小学校入学の前年) | 注射 |
水痘(みずぼうそう) | 1歳~1歳1か月 | 2回 | 注射 |
おたふくかぜ | 1歳~1歳3か月 | 2回 | 注射 |
(3歳からのワクチン)
ワクチンの種類 | 接種をはじめる年齢 | 接種回数 | 接種方法 |
日本脳炎 | 3歳(生後6か月から可能) | 基礎免疫3回(初回2回、追加1回)、9歳で4回目 | 注射 |
(生後6ヵ月以降、毎秋のワクチ)
- インフルエンザワクチン
外部リンク
別表五(二):租税公課の納付状況等に関する明細書
概説
別表の目的
この明細書は、利益積立金額の計算上控除する法人税等の税額の発生及び納付の状況並びに納税充当金の積立て又は取崩しの状況を明らかにするために使用します。
納税の経理処理
税金納付の経理処理は主に三つの処理方式がありまして、以下それぞれ説明します。
充当金取崩しによる納付
ここの充当金は納税充当金であり、会計でいう未払法人税、未払住民税、未払事業税等のことです。
申告対象年度に次のような仕訳で「未払法人税等(納税充当金)」として引当計上をし、
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
法人税・住民税及び事業税 | 100万円 | 未払法人税等 | 100万円 |
翌期首日の2ヶ月以内の実際納付日に次のような仕訳で納税充当金を取り崩します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
未払法人税等 | 100万円 | 現金 | 100万円 |
このように納税充当金は翌期の納付に充当させるための一種の未払金です。
この方式が企業会計基準とされ一般的な会計処理とされていますが、小規模法人においては下記の損金経理方式も認められています。
仮払経理による納付
仮払経理による納付とは、一般的なる租税公課勘定とは区別された法人税等勘定などを使用することを前提に、税金の中間申告および納付を行った場合に、これを会計上、仮払金(具体的には仮払法人税等勘定など)で処理をする方法をいいます。
損金経理による納付
「損金経理による納付」とは、前期末に確定した税金を未払計上せずに、納付した際に以下のような仕訳で「法人税等」などのような費用勘定として経理する方法をいいます。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
法人税等 | 100万円 | 現金 | 100万円 |
あるいは
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
租税公課 | 100万円 | 現金 | 100万円 |
記載要領
入力項目
- 期首現在未納税額
期首の未払法人税等(未払法人税、住民税、事業税のこと)の残高を入れます。 - 当期発生額
当期の中間申告で納付した税額と確定申告の税額の額を入れます。 - 充当金取崩しによる納付
充当金とは未払法人税等のことです。
基本的に、確定申告で納付すべき税額は前期の決算で未払法人税等に計上します。
この未払法人税等を取崩して納税をした場合、ここの欄に記載します。 - 仮払経理による納付
仮払経理とは、期中に仮払金で納税していて、期末に費用に振替えていない場合は、仮払経理による納付となり、そのの納税額をここに記入します。 - 損金経理による納付
最終的にに法人税等などの費用科目に計上して納税した場合は、損金経理による納付となり、そのの納税額をここに記入します。 - 期末現在未納税額
期末の未払法人税等の残高を入れます。
ここの税額は翌期の「期首現在未納税額」となり、翌期で充当金取崩しにより納付されます。
納税充当金の計算
一番下に、納税充当金の計算という欄があります。
別表五(一):利益積立金額及び資本金等の額に関する明細書
概説
別表の目的
表五(一)の「利益積立金額の計算に関する明細書」は、各事業年度における期首の利益積立金額を基に、税務における利益積立金額の期中の異動状況を記録し、期末の利益積立金額を確定するための別表です。
別表四が「税務上の損益計算書」と呼ばれているのと同様に、別表五(一)も期末の利益積立金額を表示することから「税務上の貸借対照表」と呼ばれています。
利益積立金とは
利益積立金とは、所得の金額のうち留保している金額をいいます(法2十八、令9)、法人の設立から現在までに留保した金額の累積額です。
所得の金額はその性格から次の3つに分けられます。
①留保・・・利益積立金を構成するもの
②社外流出・・・交際費のように、所得計算上は損金とはならず、所得に加算されるものの、法人の財産は社外に流失し減少しているもの
③課税外所得・・・別表4では(※)印として表現されている部分で、受取配当金のように、法人の財産は配当収入によって増加しているものの、所得の計算上は減算されているもの
利益積立金額=利益剰余金+申告調整事項の留保項目+納税充当金-未納法人税等
記載要領
利益準備金
決算書の利益準備金の増減を記載します。
- (1)期首現在利益積立金額欄
前期の「差引翌期首現在利益積立金額」を記載します。 - (2)減少の欄
今期に取り崩した金額をに記載します。 - (3)増加の欄
今期に積立した金額をに記載します。 - (4)差引翌期首現在利益積立金額の欄
決算書の利益準備金の金額を記載します。
納税充当金
決算書の未払法人税等の増減を記載します。
- (1)期首現在利益積立金額欄 前期の未払法人税等を記載します。
- (2)減少の欄 今期に前期の未払法人税等を納付した金額をに記載します。
- (3)増加の欄 今期に確定した未法人税等をに記載します。
- (4)差引翌期首現在利益積立金額の欄 決算書の未払法人税等の金額を記載します。
未納法人税等
「未納法人税等」の欄は、「納税充当金」の内訳であり、法人税・都道府県民税・市町村民税の増減を記載します。
事業税は支払った時に損金算入されるため、ここに含まれません、したがって、「未納法人税等」と「納税充当金」の金額は、事業税の金額だけズレることになります。
関連
別表四との関連
【A+B-C=D】
A) 別表五(一)のⅠ「①期首現在利益積立金額」の「31差引合計額」
B) 別表四「②留保」の「47所得金額又は欠損金額」
C) 別表五(一)のⅠ「③当期の増減・増」の「28.29.30未納法人税等」の中間・確定の合計
D) 別表五(一)のⅠ「④差引翌期首現在利益積立金額」の「31差引合計額」
このトピックは別表四 「所得の金額の計算に関する明細書」を取り上げてその書き方をサマリーします。
概説
別表四の目的
別表四は課税所得を計算するための別表です。
別表四は、法人税の損益計算書に相当するものであり、会計上の利益と税務上の所得の違いを調整しなければならないため、損益計算書の税引前利益を基に、調整項目を記載し、税務上の所得金額を算出します。
税務上の所得
会計は、収益から費用を控除して利益を計算しますが、法人税の「所得」は「益金」から「損金」を控除して計算します。
収益と益金、費用と損金はそれぞれ近い概念ですが、目的が異なるために実際には一致しませんので、会計の利益から、以下のように加減算して法人税の所得へ修正する必要が生じます。
- 加算
- 益金算入
会計上に収益ではないが、税務上に益金の額に計上する必要なもの。
例えば: 引当金の取崩額 - 損金不算入
会計上に原価や費用、損失であるが、税務上に損金として認められないもの。
例えば:法人税・都道府県民税・市町村民税、交際費、寄附金など
- 益金算入
- 減算
- 益金不算入
会計上に収益であるが、税務上に課税されないもの。
例えば:受取配当金、法人税の還付金 - 損金算入
会計上に原価や費用、損失に計上されていないが、税務上に損金として処理されるもの。
例えば:所得税の控除
- 益金不算入
留保と社外流出
「留保」とは、文字どおり、申告調整による加算項目と減算項目の金額のうち法人内部に留まっている金額をいいます。つまり、法人税の利益剰余金を増減させるものです。
「社外流出」とは、配当金や役員賞与、交際費の損金不算入分のように、法人内部に留まらず外部に流出するものを言います。
記載要領
別表四は、関連する他の別表および、決算書情報を引用して作成されます。
当期利益又は当期欠損の額
決算書の当期純利益(税引き後当期利益)が引用されます。
加算項目
以下ののように各加算項目をそれぞれ説明します。
- 損金経理をした法人税及び復興特別法人税
別表5-2には法人税の確定額や納付額を入れます。
その中で「損金経理」で納付したという欄がありますが、そこに入れた金額がここに入ります。 - 損金経理をした道府県民税(利子割額を除く。)及び市町村民税
「損金経理をした法人税及び復興特別法人税」と同じです。
ここは「道府県民税(利子割額を除く。)及び市町村民税」の分の金額が入ります。 - 損金経理をした道府県民税利子割額
利子割は、平成28年1月から廃止になりましたので、この欄の記入が不要となります。 - 損金経理をした納税充当金
納税充当金とは、会計でいう未払法人税、未払住民税、未払事業税等のことです。
別表5-2に納税充当金の増加という欄がありますが、そこの金額がここに入ります。 - 損金経理をした付帯税
納税が遅れた場合の延滞税などの付帯税を損金として計上された金額がここに入ります。 - 減価償却の償却超過額
固定資産の耐用年数や償却方法は法人税法によって定められています。
ただし、会計上は、減価償却額に限度はありません。そこで、法人税に定められた枠を超えた金額がここに入ります。 - 役員給与の損金不算入額
役員給与の損金不算入額がここにはいります。 - 交際費の損金不算入額
交際費の損金不算入額がここにはいります
減算項目
以下ののように各減算項目をそれぞれ説明します。
- 減価償却超過額の当期認容額
この欄は、前年度で減価償却の償却超過額で加算していた金額を減算する欄です。 - 納税充当金から支出した事業税等の金額
事業税は申告納付をした年度に損金にできます。
前年度で「損金経理をした納税充当金」欄で加算された未払事業税は、今年度で納付したため、その金額がここにはいります。 - 受取配当等の益金不算入額
税引後の当期純利益をもとに支払われる配当金は、法人税等が課税済みですので、益金不算入として、その金額の全部または一部がここに入ります。
寄付金の損金不算入額
別表十四 「寄附金の損金算入に関する明細書」で計算された寄付金の損金不算入額はここにはいります。
仕事内容
一言でいえば、経理とは、会社経営において大切な「利益」や「資産」を生み出すためにお金の管理をすることです。
会社はお金を稼ぐために、日々いろいろな活動を行っています。その企業活動に関する情報を「取引」として集め、「簿記」という方法によって記録し、集めた数字を見て改善点を考えたり、年度の終わりに「年次決算」として財務諸表を作成したりもします。 この一連の流れを1年間というサイクルのなかで繰り返していくのが経理の仕事です。
財務との違い
経理は日々の取引を記帳し、決算書などの資料を作成する作業を、財務は日々のお金の流れを管理し、資金不足にならないように銀行からお金を借りてくる仕事です。
位置づけ
経理部門の業務範囲は広範に渡り、企業内部の全組織で経理に関係のない部門はないといっても過言ではありません。
会計上の取引が発生すると必ず仕訳として表し、そのデータが経理業務の対象となります。
企業と外部関係者の間には大きく2通りの関係があります。
- 仕入先、得意先といった取引上の関係
資材や製品、サービスの購買、販売といったモノの取引が発生すると、そこには金銭の 関係が生じます。したがって、すべての取引には経理部門が関係してきます。 - 利害関係者といった企業評価上の関係
株主や投資家に企業の状況を開示するにあたり、会計上の決算報告の情報がもっとも重視されます。またその内容の正しさを 外部の監査法人によって証明してもらいますが、その際にも会計情報の正しさと監査するという観点 から経理部門がデータを提供します。
代金の支払においても、銀行振込によるケースが増えています。
代金の支払いは、実際に資金が社外に出ていくものであるため、特に、慎重な取り組みが必要です。また、代金決済におけるトラブルは、取引先との信用問題に直結しやすいことや、横領などの不正につながりやすい、といった点で、経営管理上、注意が必要な業務でもあります。
支払内容の精査
関係部門からの支払依頼に対して、該当する取引の契約内容及び請求書を確認し、支払内容や妥当性を検証します。
支払手続の実行
承認された支払依頼にもとづき、支払口座の残高を確認し、振込先口座、支払口座を登録して、銀行振込を実行します。
支払伝票の計上
銀行振込による支払事実にもとづき、支払伝票の計上を行います。
近年は、インターネットバンキングが普及し、銀行振込で入金処理をするケースが増えたため、会社の銀行口座には、日々多くの入金が発生します。
これらの入金を、素早く正しく処理するために、振込入金管理は、重要な業務のひとつとなります。
銀行振込情報の入手
ファームバンキングやインターネットバンキング経由による入金情報や、銀行振込明細書を入手し、取引銀行口座への入金事実を確認します。
入金伝票の計上
入金事実を確認後、入金伝票を計上します。入金内容が不明な場合には、仮受勘定にて入金計上処理を行います。
入金内容の確認
通知 入金内容を確認し、自社の請求内容との確認を行います。また、入金の対象となる部門に対して、入金事実についての通知を行います。
小口現金とは、各部署や事業所の会計係に、少額の経費支払を任せるために、あらかじめ預けておく少額の現金のことをいいます。
一般に、現金を支出する際は、本社の出納担当を通すのが原則ですが、会社規模が大きくなると、全ての支払業務を本社経由で行うことは非効率になるため、各部門や支店、工場などに、少額な経費の支払機能を移管するべく小口現金管理が行われます。
小口現金の補充
各部署の会計係より受領した、支払報告書や、証憑書類を確認し、支払事実を検証して、あらかじめ取り決めた小口現金の基準額まで、現金の不足額を補充します。
小口現金出納帳の記帳
小口現金の入金及び支払報告書をもとに、小口現金出納帳に入金・支払事実を記帳します。
小口現金残高の照合
小口現金の管理に誤りがないかをチェックするため、定期的に、小口現金出納帳の入出金および残高の合計と、社内規定で取り決めた基準額との照合、また、小口現金出納帳の残高と、金種表または銀行口座残高との照合を行います。
証憑書類とは、領収書や請求書など、取引の証拠や裏付けとなる書面のことです。
分類
証憑書類は、外部から受領したものか内部で作成しているものかによって、まず「外部証憑書類」と「内部証憑書類」に大別することができます。 また、内容によって、「お金に関するもの」、「物に関するもの」、「人に関するもの」、「契約に関するもの」の四つに分類することができます。
お金に関するもの | 物に関するもの | 人に関するもの | 契約に関するもの | ||
---|---|---|---|---|---|
外部証憑書類 | 購買先から | 請求書 領収書 | 見積書 注文請書 納品書 | - | 営業取引契約書 |
販売先から | 支払通知書 支払証明書 | 見積依頼書 注文書 受領書 検収通知書 | - | 営業取引契約書 | |
銀行から | 預金通帳 残高証明書 預金利息計算書 | - | - | 銀行取引契約書 | |
従業員関連 | - | - | - | 雇用契約書 | |
内部証憑書類 | 購買先向け | 支払通知書 (領収書が取れない場合) | 注文書(控え) | - | - |
販売先向け | 請求書(控え) 領収書(控え) | 納品書(控え) | - | - | |
従業員関連 | 賃金台帳 | - | 出勤簿 | - |
保管期間
請求書・見積書・納品書等の証憑書の保存期間については、会社の場合と個人事業者の場合とでは若干の違いがあります。
会社の場合
会社の証憑書類は、原則として、決算期の単位で7年間の保存が法律で義務づけられています。個人事業者の場合
個人事業者の証憑書類は、会社より少し短く、5年間の保存が求められています。
簿記上の取引とは
簿記上の取引とは、簿記の5つの要素、資産・負債・純資産・収益・費用のいずれかに増減変化をもたらす、すべての現象をいいます。
簿記上の取引は、生活上の取引と若干異なります。
- 生活でのみ取引といえるもの
お金の受け渡しが発生しないものは、簿記では取引とならないですが、日常生活では取引と呼ばれるものがあります。 例えば: 基本契約の締結や商品の注文など。 - 簿記でのみ取引といえるもの
簿記ではお金の増減に伴うものがすべて取引にありますが、日常生活では取引といえないものが多数あります。 例えば、盗難による金銭の損失など - どちらも取引といえるもの
いかのようなものは、簿記でも取引になりますし、生活でも取引と呼ばれます。- 商品の売買
- 経費の支払い
取引の種類
簿記上の取引は、営業取引と決算取引の2つに分けることができます。
営業取引
営業取引とは今まで述べた取引で,その財産や資本の内容がどのように増減変化をするかによって,交換取引,損益取引および混合取引に分けられる。
- 交換取引
交換取引は取引の結果,損益の発生をともなわない取引をいう。
たとえば備品の購入,現金を銀行預金する,借入金を返済するなどの取引で資産や負債は増減するが,損益の発生をともなわない。 - 損益取引
損益取引はその取引の結果,費用または収益の発生となる取引をいう。
たとえば給料や借入金の利息の支払など損失の取引となり,売上代金や受取手数料などは収益取引となるもので,これらの取引は資産や負債の増減とともに損益の発生をともなっている。 - 混合取引
混合取引とは一つの取引の中に前記の交換取引と(損益取引が混合して組合せとなっている取引をいう。
たとえば借入金¥100,000の元金返済と同利息¥5,000を現金で支払ったという取引など
決算取引
決算取引とは前項の営業取引のように営業期間中に営業活動を行うことによって,発生する取引とは違って,開始取引すなわち帳簿記帳始めに当たって財産調査などした事項を取引とみなして記帳するものや,また年度末決算に当たっての決算手続上の事項を一つの取引とみなして記帳整理することをいうものです。たとえば:
- 備品の減価償却費(定額法,購入価格10万円,耐用年数5年)¥18,000を計上した。
- 従業員退職給与資金¥20,000を引当金として計上した
会計の最終目標である財務諸表を作成するためのツールとしては、複式簿記が使用されます。
複式簿記とは
複式簿記とは、現金の増減という取引の結果に加え、どのような取引に起因して現金が増減したのかという原因にも着目して帳簿に記録していく方法です。
一方、対照となる単式簿記は、ある取引の結果としてどれだけの現金の増減がもたらされたのかの結果だけに着目しています。単式簿記の応用例としては家計簿があります。
取引
会計における取引は通常の商取引とは異なり、簿記における資産・負債・資本・費用・収益に増減を生じるような事柄について取引といいます。
たとえば、ある物品を売買するという契約をした場合、契約をしただけでは会計における取引には該当せず、実際にその物品が届いて(資産の増加)その代金を現金払い(資産の減少)または買掛金とする(負債の増加)段階で会計上の取引とします。
また、台風や水害などで建物や商品に被害を受けた場合は、通常の商取引では取引には当たらないが、会計上は資産の減少となることから取引に該当します。
勘定科目
勘定科目とは、複式簿記の仕訳や財務諸表などに用いる表示金額の名目をあらわす科目のことであり、単に「勘定」と呼ばれることも多い。
勘定科目は以下のように五つのグループに分類することができます。
- 貸借勘定
- 資産
- 負債
- 純資産
- 損益勘定
- 収益
- 費用
仕訳
仕訳とは、複式簿記において、発生した取引を貸借の勘定科目に分類して仕訳帳に記入することです。
簿記の流れ
簿記は上記の図のように取引、仕訳、記帳、集計、決算という一連の流れで行われています。一般的には、取引、仕訳、記帳は毎日行われます。また、集計は毎月、決算は毎年ごとに行うものとなっています。
決算の結果としては、外部に提示する財務諸表が作成され、そこで1年間の会計処理が終わりになります。
通常販売
通常販売とは、売り手が直接買い手に商品を販売し、原則として買い手からその代金が現金あるいは売掛金といった、一括で支払われる販売形態です。
通常販売の収益認識基準は下記のように定められています。
- 原則: 引渡基準(商品を引渡した時点)
- 容認: 特になし
委託販売
委託販売とは、商品の販売を他人に委託する販売形態です。委託された商品は、委託品または積送品といいます。
委託販売の収益認識基準は下記のように定められています。
- 原則: 引渡基準(受託者が委託品を引渡した時点)
- 容認: 仕切清算書(売上計算書)到達基準
試用販売
試用販売は、売り手がとりあえず買い手に商品を発送し、買い手が商品を試しに使ってみて、購入するかどうかを決定する販売形態です。
試用販売の収益認識基準は下記のように定められています。
- 原則: 買取意思表示基準(買取の意思表示を受けた時点)
- 容認: 特になし
予約販売
予約販売は、買い手から予約金を受け取って、後日商品を引渡す販売形態です。
予約販売の収益認識基準は下記のように定められています。
- 原則: 引渡基準(商品の引渡しまたは役務の給付が完了した時点)
- 容認: 特になし
割賦販売
割賦販売は、商品を引渡した後、代金は将来の一定期間内に分割で回収する販売形態です。
割賦販売の収益認識基準は下記のように定められています。
- 原則: 引渡基準(商品等を販売した時点)
- 容認:
割賦基準(回収基準と回収期限到来基準の2つがある)
- 回収基準とは、代金を回収(入金)したときに収益を計上する基準である。
- 回収期限到来基準とは、代金の回収に関係なく、割賦契約による割賦金入金期日が到来したときに収益を計上する基準をいう
長期請負工事
長期請負工事は、建設業や造船業などのように建物や船舶の建設、建造にあたって、あらかじめ工事の請負代金などが契約で取り決められる工事のことです。
長期請負工事の収益認識基準は下記のように定められています。
- 原則:
工事完成基準と工事進行基準の選択適用ができます。
- 工事完成基準: 工事が完成し、それが引渡されたときをもって収益を認識するものであり、実現主義を適用したものです。 この基準によれば、引渡しが完了した日に工事収益を計上するので、それまでの期間は未成工事支出金(資産a/cで仕掛品と同義)として次期に繰越されます。
- 工事進行基準: 工事収益を工事期間の最終時点で一括計上するのではなく、工事の進行度合い(進捗率という)に応じて部分的に収益を認識するものであり、発生主義を適用したものです。
- 容認: 特になし
概要
負債の定義
負債とは、企業資本の調達源泉であり、株主以外の第三者からの調達資金を示す他人資本 であるとともに、資金提供者または債権者に対して負っている弁済義務をいいます。
分類
負債は、その弁済期限によって流動負債、固定負債の2つに分類されます。
そして流動負債
と固定負債の分類基準として、資産の分類と同様に正常営業循環基準と1年基準とがあります。
- 正常営業循環基準とは、企業の通常の営業活動の循環内に属する負債(買掛金、支 払手形など)は、その返済期限の長短にかかわらず流動負債とする基準である。
- 1年基準(ワン・イヤー・ルール)とは、債務の履行期日が、貸借対照日の翌日か ら起算して 1 年以内に到来するものを流動負債、1年を超えるものを固定負債とす る基準である。
流動負債
流動負債の分類
- 営業上の金銭債務:通常の営業活動によって生じた金銭債務で、買掛金、支払手形 などがある。
- その他の流動負債:短期借入金、前受金、未払金の他に、経過負債として前受収益 と未払費用、さらに短期の負債性引当金などがある。
流動負債の評価
- 金銭債務は、債務額を持って貸借対照表価額とする。
- 経過負債は、時間基準により算定、評価する。
- 負債性引当金は、合理的に見積もることができる将来の費用または損失の額のうち、 当期の収益に負担せしめるべき額を確定することによって自動的に定まる。
固定負債
社債
社債とは、株式会社が有価証券の一種である社債券を発行し、一般から長期にわたって資金を調達した場合の債務です。
新株予約権付社債
新株予約権が付された社債のことを新株予約権付社債といい、新株予約権とは、会社の株式を一定期間内にあらかじめ決められた価格で(権利行使価格)購入できる権利をいいます。
新株予約権者がその権利を行使したとき、会社は、(i)新株を発行するか、(ii)自己株式を移転する義務を負います。
引当金
引当金の意義と目的
引当金とは、将来の資産の減少または債務の発生に備えて、その合理的な見積額のうち当
期の負担に属する額を費用または損失として計上するために設定される貸方項目をいいます。
引当金を設定する目的は、期間損益計算の適正化、財政状態の適性表示にあります。
引当金の設定用件
引当金を設定する場合には、以下の4つの要件を全て満たす必要があります。
- 将来の特定の費用または損失であること
- その発生が当期以前の事象に起因すること
- 発生の可能性が高いこと
- その金額を合理的に見積ることができること
引当金の種類
引当金は、資産の控除たる性格をもつ評価性引当金と、負債の性格をもつ負債性引当金に 大別され、負債性引当金はさらに、条件付債務たる引当金と債務でない引当金とに区分されます。
このトピックでは、繰延資産とその会計基準を取り上げてサマリーします。
繰延資産とは
繰延資産(くりのべしさん、英:Deferred Assets)とは、将来の期間に影響する特定の費用のことです。
企業会計原則注解(注15)では、繰延資産として認められるために満たす必要がある要件について、以下のように記述されています。
- すでに代価の支払いが完了または支払義務が確定していること
- 役務の提供を受けていること
- 効果が将来にわたって発現すると期待されること
繰延資産は本来費用ですが、長期間に渡り効果があるので資産計上をします。会社法、税法それぞれで指定されていて、その種類に応じて任意償却、均等償却、強制的な定額法による償却など処理方法が定められています。
繰延資産の種類
繰延資産の種類は、会社法、税法上それぞれ指定が異なります。 「税務上の繰延資産」は、「会社法の繰延資産」と「税法上の繰延資産」を含みますが、会計基準上で繰延資産という勘定科目で計上できるのは「会社法上の繰延資産」のみであり、「税法上の繰延資産」は「投資その他の資産」に長期前払費用等として計上することになります。
会社法上の繰延資産
会社法上の繰延資産は、「企業の会計慣行」に基づいて次の5費用項目に限定されております。また資産計上しなかった場合には、支出年度に一括費用計上されることになります
- 株式交付費
新株の発行または自己株式の処分のために直接支出した費用。 - 社債発行費等
社債の発行のために直接支出した費用および新株予約権の発行のために直接支出した費用。 - 創立費
会社の設立のために支出した費用。 - 開業費
会社の設立から実際の開業までに支出した費用。 - 開発費
新技術または新経営組織の採用、新資源の開発、新市場の開拓等のために特別に支出した費用であって、研究開発費に該当しないものをいう
上記の項目は原則は支出時に一括費用計上であり、繰延資産としての資産計上はあくまで容認規定であるため、早期償却を促すための償却期限の規定がおかれています。
種類 | 償却開始時期 | 償却期間 | 償却方法 | 表示場所 |
---|---|---|---|---|
株式交付費 | 会社成立後 | 3年内 | 定額法 | 営業外費用 |
社債発行費 | 社債発行後 | 償還期限内 | 利息法or定額法 | 営業外費用 |
(新株予約権発行費) | 新株予約権発行後 | 3年内 | 定額法 | 営業外費用 |
創立費 | 会社成立後 | 5年内 | 定額法 | 営業外費用 |
開業費 | 開業後 | 5年内 | 定額法 | 営業外費用 |
開発費 | 支出後 | 5年内 | 定額法 | 一般管理費 |
税法上の繰延資産
税法上の繰延資産とは、次に掲げる費用で支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものといいます。
- 自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
- 資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立ちのき料その他の費用
- 役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
- 製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
- 上記に掲げる費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用
税法上の繰延資産は、税法で定める償却期間を基に毎期償却していくが、例外的に20万円未満のものは支出時の費用に計上することができます。
種類 | 償却開始時期 | 償却期間 | 償却方法 | 表示場所 |
---|---|---|---|---|
1 | 支出後 | 共用施設耐用年数の70%に相当する年数 共同設備の場合5年(耐用年数がそれ未満の場合はその耐用年数) | 均等法 | 減価償却費 or 長期前払費用償却 |
2 | 支出後 | 建物の場合その建築物の耐用年数の70%に相当する年数 設備等の場合5年(その年数が契約による賃借期間を超えるときは、その賃借期間) | 均等法 | 減価償却費 or 長期前払費用償却 |
3 | 支出後 | 5年(契約年数が5年未満の場合はその契約期間の年数) | 均等法 | 減価償却費 or 長期前払費用償却 |
4 | 支出後 | 資産の耐用年数の70%に相当する年数(耐用年数がそれ未満の場合はその耐用年数) | 均等法 | 減価償却費 or 長期前払費用償却 |
5 | 支出後 | 5年 | 均等法 | 減価償却費 or 長期前払費用償却 |
研究開発費
試験研究費と開発費は、従来、繰延資産項目であったが、平成10年3月に制定された「研究開発費等に係わる会計基準」によって、新たに設けられた研究開発費に含まれるようになり、発生時に費用として処理されることになりました。なお開発費の一部は現在も繰延資産と認められています。
ソフトウェアの会計処理
区分 | 会計処理 | ||
---|---|---|---|
1.研究開発目的のソフトウェア | ⇒研究開発費として処理 | ||
2.研究開発目的のソフトウェア | 2.1.販売目的 | 2.1.1.受注製作目的 | ⇒請負工事の会計処理を適用する |
2.1.2.市場販売目的 | ⇒研究開発費部分と資産化部分に分かれる | ||
2.2.自社利用目的 | ⇒無形固定資産として計上 |
このトピックでは、固定資産とその会計基準を取り上げてサマリーします。
固定資産とは
固定資産とは、販売目的ではなく、継続的に会社で使用することができる、または長期に渡って所有される資産のことであり、貸借対照表上で借方「資産の部」の下側にくる勘定になります。
固定資産と対照になるのは、現金や棚卸資産等の流動資産があります。
固定資産の分類
固定資産は以下のように分類することができます。
- 有形固定資産
原則1年以上使用することを目的として所有する資産のうち具体的な形態を持ったもの - 無形固定資産
具体的な形を持たない資産で、長期に渡り経営に利用され、他企業との競争上有用なもの - 投資その他の資産
長期の利殖を目的とした資産、他の企業を支配するための投資およびこれらに属しない長期資産
減価償却
減価償却とは
減価償却は、高額な資産について、購入年度だけでなく数年にわたってその費用を計上できる仕組みです。 建物や設備などの有形のものだけでなくソフトウェアなどの無形の財産にも適用され、それぞれの耐用年数に応じて資産の価値からその年に消耗したとされる金額を費用として引いていきます。 耐用年数は、実際の使える年数、使った年数にかかわらず、固定資産の種類毎に国が定めた年数となります。
減価償却の種類
減価償却は、正規の減価償却のほかにも、臨時償却、特別償却、臨時損失などがります。
- 正規の減価償却
正規の減価償却とは、毎期規則的・計画的に行われる通常の減価償却のことです。 - 臨時償却
臨時償却とは、耐用年数の見積違い等が判明したときに過年度における減価償却の過不足を修正するために行われるもので、前期損益修正項目(特別損失)です。 - 特別償却
特別償却とは、租税特別措置法の規定によって国の経済政策観点から、通常の償却限度額を超えて行われるものです。 - 臨時損失
臨時損失とは、災害や事故があった場合に行われる固定資産の評価替のことです。
減価償却費の計算方法
減価償却費の計算は、時間とともに減価償却していく定額法、定率法とその資産を使って得た利益に応じて変わる生産高比例法などがあります。
- 定額法
減価償却費=(取得原価-残存価額)÷耐用年数 - 定率法
減価償却費=未償却残高×償却率 - 級数法
減価償却費=(取得原価-残存価額)×(耐用年数―経過年数)÷1から耐用年数までの算術級数総和 - 生産高比例法
減価償却費=(取得原価-残存価額)×(当期利用量÷総利用可能量) - 取替法
取替法とは、最初の取得原価をそのまま帳簿価額として据え置き、部分的取替えを行った際に、取替えに要した支出額を当該会計期間の減価償却費として処理する方法である。
圧縮記帳
圧縮記帳とは、国庫補助金等で取得した資産に関して、その帳簿価額を取得原価から国庫補助金などに相当する金額を控除した金額とし、そしてその帳簿価額に基づいて減価償却を行う方法です。
例えば、P社が国庫補助金100,000円を受け入れ、1,000,000円を加えて機械設備を購入し圧縮記帳を行い、決算時に減価償却を行いました(定額法:耐用年数5年)。
仕訳
- 受入時
(借方) 現 金 100,000円 / (貸方) 国庫補助金受入益 100,000円 - 購入時
(借方) 機 械 装 置 1,100,000円 / (貸方) 現 金 1,100,000円 - 圧縮記帳
(借方) 固定資産圧縮損 100,000円 / (貸方) 固定資産圧縮額 100,000円 - 決算日
(借方) 減価償却費 200,000円 / (貸方) 減価償却累計額 200,000円
貸借対照表
機械装置 1,000,000 | 減価償却累計額 200,000 |
損益計算書
固定資産圧縮損 100,000 | 国庫補助金受入益 100,000 |
減価償却費 200,000 |
このトピックでは、金融商品とその会計基準を取り上げてサマリーします。金融商品には資産も負債もありますが、ここで纏まりの説明となります。
金融商品とは
金融商品とは「金融資産、金融負債及びデリバティブ取引に係る契約を総称したもの」を指します。
金融商品の種類
金融商品は大きく金融資産と金融負債に分けられ、それぞれ以下のような分類があります。
金融資産
- 現金預金
- 金銭債権
- 受取手形
- 売掛金
- 貸付金
- その他の金銭債権
- 有価証券
- 売買目的有価証券
- 満期保有目的の債券
- 子会社株式および関連会社株式
- その他有価証券
- デリバティブ取引により生じる正味の債権
金融負債
- 金銭債務
- 支払手形
- 買掛金
- 借入金
- 社債
- その他の金銭債務
- デリバティブ取引により生じる正味の債務
発生・消滅の認識
契約上の権利または金融負債の契約上の義務を生じさせる契約を締結したときに、その金融資産または金融負債の発生を認識(財務諸表に計上)します。
金融資産は、契約上の権利を行使、喪失または他に移転したときに、その金融資産の消滅を認識し、金融負債は、契約上の義務を履行、義務が消滅、あるいは第一次債務者の地位から免責されたときに、その金融債務の消滅を認識します
金融商品の評価
金融資産は時価、金融負債は債務額をもって貸借対照表評価額とするのが原則です。
現預金
金融資産のうち現金預金については評価の問題は生じません。
金銭債権
受取手形、売掛金などの金銭債権の貸借対照表評価額は、債権金額またはは取得原価から正常な貸倒見積高を控除した金額となります。
ただし、債権を債権金額より低い価額または高い価額で取得した場合において、取得価額と債権金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額から、貸倒見積高に基づいて算定された貸倒引当金を控除した金額としなければなりません。
- 償却原価法
償却原価法とは、債権または債券をその券面額よりも低い価額または高い価額で取得したときに、その差額を弁済期または償還期に至るまで毎期一定の方法で貸借対照表価額に加減する方法である
有価証券
分類 | 評価基準 | 評価差額 | 表示区分 |
---|---|---|---|
売買目的有価証券 | 時価 | 当期の損益 | 流動資産 |
満期保有目的の債券 | 取得原価(額面が取得原価と異なるときは償却原価法) | 当期の受取利息 | 1年以内に満期なら流動資産、それ以外は投資その他の資産 |
子会社株式・関連会社株式 | 取得原価 | ― | 投資その他の資産 |
その他有価証券 | 時価 | 洗替法又は切放法 | 投資その他の資産 |
金銭債務
支払手形、買掛金、借入金、社債などの金銭債務は、債務額で評価することとされています。
ただし、払込を受けた金額が債務額と異なる社債は、適正な価格をつけることができます。その差額にあたる金額は、償還日までの期間にわたって、毎期一定の方法で債務額に加減して処理するということになっています。また、額面との差額を社債発行差金として繰延資産に計上することも認められています
貸倒見積高の算定
債権は、債務者の財政状態および経営成績等に応じて、一般債権、貸倒懸念債権、破産更生債権等の3つに区分されています。そしてそれぞれの区分ごとに貸倒見積高の算定方法が下表のように定められています。
評価方法 | 貸倒見積高 | |
---|---|---|
一般債権 | 貸倒実績率法 | 過去の貸倒実績率等合理的な基準により貸倒見積高を算定。 |
貸倒懸念債権 | 財務内容評価法 | 債権額 ― 担保処分もしくは保証回収見込額 ± 債務者の債務状況 |
キャッシュフロー見積法 | 債権の帳簿価額-割引現在価値 | |
破産更生債権等 | 財務内容評価法 | 債権額 ― 担保処分もしくは保証回収見 |
このトピックでは、棚卸資産とその会計基準を取り上げてサマリーします。
棚卸資産とは
棚卸資産とは、企業が販売する目的で一時的に保有している商品・製品・原材料・仕掛品の総称です。一般的には在庫と表現されることもあります。
棚卸資産の範囲
棚卸資産とは、次のいずれかに分類することができます。
- 商品、製品
通常の営業活動において販売するために保有する財貨。 - 仕掛品、半製品
販売を目的として製造中の財貨または用役。 - 原材料、貯蔵品
販売目的の財貨または用益を生産するために短期間に消費されるべき財貨。 - 事務用消耗品
販売活動および一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨
棚卸資産の取得原価
購入の場合
棚卸資産を購入した場合の取得原価は、購入代価+付随費用で決定することになります。
付随費用には「外部付随費用」と「内部付随費用」があり、外部付随費用には、運賃、購入手数料、関税などが、内部付随費用には、購入事務費、検証費、保管費などがあります。
製造の場合
棚卸資産を自社生産した場合の製品などの取得原価は、適正な原価計算の手続きに従って算出された価額によって決定されます。 原価計算の制度は、大別すれば実際原価計算制度と標準原価計算制度とに分類することができます。
実際原価計算で実際の取得価格ではなく予定価格などを用いた場合、あるいは標準原価を用いた場合、そこで計算される取得原価と実際発生額との間に発生する差額を「原価差異」とよびます。原価差異が生じる場合は、その再適切に処理して製品原価および損益を確定することが求められます
贈与・交換等の場合
贈与や交換によって棚卸資産を取得した場合は、受け入れた棚卸資産の適正な時価や、公正な評価額をもって取得原価とします。
棚卸資産の費用配分
棚卸資産は、当期に販売、消費された分が費用になり、損益計算書に費用として計上されます。当期には消費されず、将来に繰り延べられた部分は、棚卸資産として貸借対照表に資産計上されます。
- 材料
- (消費分) ⇒ 製品原価
- (消費分) ⇒ 売上原価 ⇒ 当期費用
- (未消費分) ⇒ 期末製品棚卸高 ⇒ 棚卸資産
- (未消費分) ⇒ 期末材料棚卸高 ⇒ 棚卸資産
- (消費分) ⇒ 製品原価
棚卸資産の取得原価は、販売または消費された数量に単価を乗じることで行われるため、費用配分の手続きは、数量計算と金額計算からなります。
数量の計算
棚卸資産の数量計算の代表的なものに、継続記録法(帳簿棚卸法)と棚卸計算法(実地棚卸法)があります。
- 継続記録法
継続記録法は、棚卸資産の入出庫の都度商品有高帳に継続的な記録を行い、常にその消費数量と在庫量を把握できるようにしておく方法です。
期首棚卸数量+受入数量-消費数量=期末帳簿棚卸数量 - 棚卸計算法
棚卸計算法は、期末に実地棚卸を行って在庫量を求め、期首棚卸数量に当期受入数量を加算した合計数量からこれを控除することによって消費数量を計算する方法です。
期首棚卸数量+受入数量-期末実地棚卸数量=消費数量
単価の計算
企業が仕入れる棚卸資産は、毎回同じ価額ということはありません。値引や割戻が発生することもありあすし、仕入先が違えば同じものでも価格が異なることがあります。 そのため、消費、販売された棚卸資産の取得原価の算定や貸借対照表価額の算定をどのような方法で行うのかが重要となります。 企業会計原則注解(注21)には、棚卸資産の貸借対照表価額の算定方法として、以下の方法があげられています。
- 個別法
個別法とは、取得原価が異なる物ごとに区別して記録する方法です。多品種を扱う企業の場合は手間のかかる記録方法になりますので、あまり適当ではありません。
宝石や貴金属、自動車などの比較的高価で個々に在庫管理が可能な棚卸資産に適した方法です。 - 先入先出法
先入先出法とは、FIFO(First In First Out)ともよばれ、先に受け入れたものから順に払い出すという仮定の下に記録していく方法です。 - 後入先出法
後入先出法とは、LIFO(Last In First Out)ともよばれ、最近受け入れたものから先に払い出す、という仮定のもとに記録していく方法です。 - 平均原価法
平均原価法とは、取得した棚卸資産の平均原価を算定し、この平均原価によって期末の棚卸資産価額を求める方法です。
平均原価法には、「単純平均法」「移動平均法」「総平均法」があります。 - 売価還元法
売価還元法は「小売棚卸法」とも呼ばれています。これは、異種商品を一つにプールして加重平均を行う方法で、プールされた棚卸資産の売価合計額に原価率をかけて期末棚卸資産価額を求めます。 - 最終取得原価法
最終取得原価法は、最終取得原価(期末に最も近い日に受け入れた商製品の価額)を期末棚卸資産のすべてに適用することによって算定する方法です。 - 基準棚卸法
基準棚卸法は、「基礎有高法」「正常有高法」ともよばれます。これは生産・販売活動を展開するうえで最低限必要な棚卸資産を基準量とします。
基準量は、基準棚卸法を採用したときの原価を適用し、価格の変動に関係なくその価額で評価していきます。
棚卸資産の期末評価額
棚卸資産の評価は原則として取得原価で行われます。したがって期末に貸借対照表に計上される棚卸資産の価額は取得原価となります。
しかし、棚卸資産の時価が取得原価よりも著しく下落したときは、回復する可能性があると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額としなければなりません。
このトピックでは、資産会計の概要を取り上げて説明します。
資産とは
資産とは、一定時点における企業資本の具体的運用形態であり、将来の収益獲得に役立つ経済的価値を有するものをいいます。
資産の分類
財務流動性に基づく分類
基本的な分類方法として、資産は、財務流動性から流動資産、固定資産、繰延資産の3つに分類されます。そして流動資産と固定資産の分類基準として、正常営業循環基準と1年基準とがあります。またこの他にも有価証券に関しては、所有目的基準が適用されます。
- 正常営業循環基準
正常営業循環基準とは、企業の正常な主たる営業循環過程の内で現金化、費用化される資産を流動資産とする基準です。 - 1年基準
1年基準とは、貸借対照日の翌日から起算して1年以内に現金化あるいは費用化される資産を流動資産、1年を超えて現金化あるいは費用化される資産を固定資産とする基準です。 - 所有目的基準
所有目的基準とは、有価証券の流動・固定の分類に用いられる基準で、売買目的有価証券および1年以内に満期の到来する社債その他の債権は流動資産に属するものとし、それ以外の有価証券は固定資産の投資その他の資産に属するものとします。
資産の分類一覧
- 資産の部
- Ⅰ 流動資産
- 当座資産 (現金及び預金、受取手形、売掛金)
- 棚卸資産 (原材料、仕掛品、製品、貯蔵品)
- その他の流動資産 (未収収益、前払費用、短期貸付金)
- Ⅱ 固定資産
- 無形固定資産 (特許権、借地権、営業権)
- 有形固定資産 (建物、土地、機械装置、建設仮勘定)
- 投資その他の資産 (投資有価証券、子会社株式、長期貸付金)
- Ⅲ 繰延資産 (創立費、開業費、新株発行費)
- Ⅰ 流動資産
損益計算との関係を重視した分類
損益計算との関係を重視したところから、資産は、貨幣性資産、費用性資産という分類もあります。
- 貨幣性資産
貨幣性資産とは、近い将来に回収、換金される資産をいいます(現金、預金、売掛金、受取手形)。 貨幣性資産は、収入額または回収可能額によって評価されます。 - 費用性資産
費用性資産とは、将来販売等によって費用に転化する資産をいいます(棚卸資産、有形・無形固定資産、繰延資産)。 費用性資産は、原価基準によって評価されます。
資産の評価
資産評価とは、資産の貸借対照表価額を決定することです。
資産を評価する基準には、原価基準、時価基準、低価基準の3つがありあす。
- 原価基準
原価基準とは、資産を取得原価によって評価する基準です。 現在の企業会計では、継続企業の決算時の評価基準として、原則としてこの原価基準が採用されています。 - 時価基準
時価基準とは、資産を時価によって評価する基準です。 時価基準にはさらに、売却時価基準と再調達原価基準があります。 現在のところ、この時価基準による資産評価は、金融商品に限られています。- 売却時価基準では、資産をその売却時価からアフター・コスト(売却に伴う諸費用)を差し引いた正味実現可能価額で評価します。
- 再調達原価基準では、資産を決算時の再購入価額である再調達原価で評価します。
- 低価基準
低価基準とは、取得原価と決算時の時価とを比較して、いずれか低い方の価額をもって資産を評価する基準です。 現行の会計制度では、棚卸資産のみ低価基準の適用が容認されています。