ひところ一人歩きした感のある「絶対音感」ですが、一体どんなもので、何の役に立つのか、立たないのか、解説します。
絶対音感絶対音感は聞いた音の高さを他の音と比較することなく何の音かを判断することができる能力です。
例えば、楽器で鳴らした一つの音を聞いたとき、それが五線上のどの音に当たるのかがわかる能力です。
ピアノであれば鍵盤が88
つまり、頭の中に88のすべての音の高さが記憶されていて聞いた音と脳内の記憶を結びつけることができます。
絶対音感を持っていれば、曲を聴いたときにKey(調整)を判断することができます。
絶対音感に対して、もう一つ相対音感があります。
相対音感では、基準となる音を聞かなければ、Key(調整)を判断することができません。
しかし、確かな相対音感を持っていれば、基準となる音さえあればKeyを判断することは可能です。
またハーモニーを聞き分けたり、聞いたメロディーを歌や楽器で再現したりすることができます。
むしろ確かな相対音感こそが音楽のためには重要です。
絶対音感を身につけるには6歳までに訓練する
絶対音感は脳の発達が著しい3〜4歳より訓練をすれば、誰でもある程度身につけることは可能です。
ただし、6歳をすぎると身につけることはできません。
習得したければ6歳までに一通りの訓練が必要です。
幼児期に音楽教室に通っていた経験のある人なら、気づいていなくても絶対音感を持っている方もたくさんいるでしょう。
絶対音感は音楽家にとって必要か?
「絶対音感」は専門用語ですが、ある時期に出版された書籍によって多くの人が知ることになりました。
そして幼児期の教育で絶対音感を身につけるための英才教育がブームになったことがあります。
では、音楽をやる上で、特にプロになるために絶対音感は必要なのでしょうか?
実は有名な音楽家でも絶対音感を持っていない人はたくさんいます。
日本の音大生で絶対音感を持っている人は約半数と言われています。
それでも諸外国と比べると多いようです。
チャイコスフスキーは絶対音感を持たない作曲家として有名です。
絶対音感はなくても、確実な相対音感を持っています。
したがって、絶対音感は音楽家にとって絶対に必要なものではありません。
絶対音感と音楽性一番大切なのは感性!
絶対音感は幼児期に訓練をすれば誰でも、程度の差はありますが身につけることができます。
それでは、絶対音感があれば誰でも音楽家になれる?あるいは音楽が得意な人になれるか?というと、そんなことはありません。
もちろん、音楽をやる上で絶対音感を持っていることが有利であることはたくさんあります。
絶対音感を身につけることを否定するものではありません。
良い時期に訓練して身につけるのは良いことです。
しかし、それよりも音楽性や音楽的なセンスや、良い音楽にたくさん触れるなどの経験の方が重要です。
絶対音感は音楽をやる上で持って入れば便利ですが、いちばん大事なものではありません。