望遠鏡はスポーツ、アウトドアなど様々なシーン、また趣味で活躍するツールの一つです。
色々な種類があり、それぞれの用途によって適切なものを選べば、より有効に楽しく使うことができます。
初めて望遠鏡を入手しようとする方にわかりやすく解説します。望遠鏡は大きく分類すると地上望遠鏡と天体望遠鏡に分けられます。
地上望遠鏡は地上の景色や、そのほかの地上の状況を観察するために使われるもので、正立像で見ることができます。
コンパクトな双眼鏡から、観光地の展望台にある大きな双眼鏡も地上望遠鏡です
それに対して天体望遠鏡は、月や惑星、星雲などの天体を観測するために使われるもので、上下逆さまの像が見られるのが特徴です。
教材用などとして使われる簡単なものから、天文台にあるような巨大口径のものまで、それぞれ仕組みは違いますが、全て天体望遠鏡です。
地上望遠鏡
地上望遠鏡には双眼鏡と単眼鏡の二種類があります。
双眼鏡
地上望遠鏡の中では最もポピュラーなものです。鏡筒が二つあり両目で見ることができます。
そのため立体感や距離感のある像を見ることができるのが特徴です。
サイズや倍率などは非常に多くの種類があるので、何を見るのか、どのような場所や状況で使うのか、どのくらいの距離、範囲のものを観察するかで選ぶ必要があります。
バードウォッチング
- 口径:30㎜〜
- 倍率:7〜10倍
バードウォッチングではストラップをつけてフィールドで持ち歩く事を考えると、あまり大きなもの、重いものだと疲れてしまいます。
この点を考えて無理のないように、少し小さめのものを選ぶのが良いでしょう。
また、倍率は高すぎると視野が狭くなるので、特に初心者には目的のものを視野に入れるのが難しいです。
スカイウォッチング(天体観測)
- 口径:30〜50㎜
- 倍率:7〜10倍
特に推奨するのは7倍×50㎜です。適度な倍率で明るい像が得られるます。
天体観測の主役は天体望遠鏡ですが、高倍率の望遠鏡では観測しにくいものもあります。
月などの明るい天体は双眼鏡での観測に非常に向いています。
そのほか、天の川、星雲、星団、惑星などの観測もできます。
木星のガリレオ衛星も見ることができます。
手ブレを防ぐためには三脚があると良いです。
そのまま三脚に取り付けられるものもありますが、なくてもアダプターをつければ三脚に固定することができます。
スポーツ観戦
- 倍率:8〜10倍
長時間の観戦のためにはコンパクトなものをおすすめします。倍率は観戦するスポーツの種類にもよります。
広い視野が必要な場合にはあまり高倍率だと意味がありません。
逆に細部を見たい場合には高倍率が良いです。
コンサート・観劇
- 倍率:3〜10倍
倍率が高すぎると視野が狭くなるので、特に観劇では3〜4倍の程倍率で、小さくて軽いものが適当です。
「オペラグラス」という名称のものは、このくらいの倍率です。
コンサートなどで全体を見るためよりも、局所的に拡大して見たい場合には倍率が大きめのものを選びます。
単眼鏡
一本の鏡筒の望遠鏡です。
望遠鏡と言ってまず思い浮かべるのはこの形でしょう。
双眼鏡のような立体感のある像を見ることはできません。
ポケットに入れて持ち運べるような小さなものから、高倍率大口径のものまでがあります。
選び方は双眼鏡と同じです。
<地上望遠鏡選びのポイント>
- 倍率:観察する対象によって選ぶ。同じ口径なら倍率が高いほど視野は暗くなる。
- 口径:対物レンズの口径は大きい方が明るい像、綺麗な像が得らるが、重くなる。
- ひとみ径:接眼レンズを遠くから見ると見える円形の像の大きさ。大きいほど明るいので、入手するときは見比べて見ましょう。
天体望遠鏡
本格的に天体観測をしたければ、望遠鏡はひとつ欲しいものです。望遠鏡があれば、木星の縞模様や土星の輪、さらに遠くの星雲まで、観測できる範囲はさらに広がります。
天体望遠鏡は屈折式と反射式の二つの種類が代表的なものです。また望遠鏡をのせる架台にも経緯台式と赤道儀式の二種類があり、どんな観測をするかで、また予算で選びます。
屈折式
屈折式経緯台
望遠鏡の代表的なスタイルと言っで良いでしょう。鏡筒の両端に対物レンズ(凸レンズ)と接眼レンズ(アイピース)があるものです。扱い方が簡単で、鏡筒内が密閉されているので視界が揺れにくく安定しているのが特徴です。扱いやすいという点では初心者に向いています。ただし、口径が大きくなると重くなります。
反射式
反射式赤道儀
鏡筒の底面に凹面鏡(主鏡)があり、ここで集めた光を斜鏡で90°曲げて、鏡筒側面にある接眼レンズで見る方式のものです。鏡筒の横から見ることになります。にじみのない綺麗な像が特徴です。鏡筒内部がオープンになっているので気流が生じるために安定した像を得るまでに時間がかかることと、光軸調整などメンテナンスが必要です。大きめの口径でも同じサイズの屈折式と比べると安価なので価格面では初心者にも優しいです。
カセグレン式
反射望遠鏡の一種ですが、凹面鏡で集めた光を双局面鏡で焦点距離を引き押す方式です。短い鏡筒で長い焦点距離が得られるので、非常にコンパクトなサイズでも高性能なことと、アイピースが鏡筒側面あるので屈折式のような使いやすさもあります。
<天体望遠鏡選びのポイント>
- 口径(対物レンズ・主鏡):大きいほど多くの光を集めることができるので、同じ倍率に設定した時には大きい方が明るい像、綺麗な像が得られる。
小口径で倍率をあげても、暗くてボケた像になってしまう。
口径0㎜では120倍、口径100㎜では200倍が実質的な最高倍率となる。
惑星や星雲などを詳細に観測したければ屈折なら80㎜、反射なら100㎜以上がオススメ。 - 倍率:対物レンズ(主鏡)の焦点距離÷接眼レンズの焦点距離で決定する。
同じ接眼レンズでは対物レンズの焦点距離が長いほど高倍率になる。
例)焦点距離1000㎜の対物レンズに20㎜の接眼レンズを使うと1000÷20=50(倍)となる。
月面観測なら50〜70倍で十分に細かいところまで観測が可能。
木製の縞模様、土星の輪の観測には100〜150が欲しい。
天体望遠鏡の架台
経緯台
シンプルな構造で、上下左右に自由に動かすことができ、目的の天体に向けることができます。初心者でも操作が簡単です。新しいものでは、天体を自動導入できるコントローラを装備したものもあり、より初心者にも扱いやすくなっています。
赤道儀
赤道儀式架台
地球の自転にあわせて望遠鏡を動かし、時事刻々と移動していく天体を追尾することができます。一度視野に入れた天体は時間が経っても簡単に視野に入れることができます。また長時間露光の天体写真を撮影するためには必須です。正しく追尾するためには極軸を正確に合わせる必要があります。モータードライブで自動追尾できるものもあります。
望遠鏡選びには、上記のようにいくつかのポイントがありますが、用途がはっきりとして入れば、選択肢も限られてきます。あれもこれも、一つで色々な使い方を考えるよりも、それぞれに適切なものを選ぶ方が、より楽しく使うことができます。
また初めて購入する方は鏡筒、架台、脚、ファインダー、接眼レンズなどセットになったものを選ぶ方が多いと思います。望遠鏡は重量のあるものであり、高倍率の像を見るのでちょっとした振動でも揺れてしまいます。そのために脚がしっかりしたものを選ぶことも大切です。